ドラマーはボランティアなのか?

ドラムサウンドを蔑ろにしてるという話がありますが、ドラマーを蔑ろにするなという話もありますね。

所謂サポートのドラマーに敬意(や適切なギャラ)を払わないという空気感や、一部の風潮。それはやはりドラムやドラムサウンドを大切にしていないということと同義でしょう。

その専門家に敬意や金を払えないということは、その分野が廃れていくことに直結するわけです。どんな分野や業界であれ。


千葉の台風災害で市原市が「ボランティアのブルーシート掛け職人」を募集しているらしくて本当に舐めているよなと。ただハシゴで屋根に登ってシートを掛けるだけの簡単な仕事ではないそうです。かなりの技術や見極めや危険への対処が必要なわけです。


この国はあたまの先から足の爪の先まで、そういう「敬意をはらえない」という国民性のようですね。


そりゃ音楽がまともに伸びるわけがないわけです。


韓国を始めアジアの音楽は沢山世界に出始めているというのに。かつて経済大国だった時代でも日本の音楽は世界に太刀打ちできなかったわけですからね。


なんでも真似事ばかりで、真似事の上手い人だけチヤホヤする。というようなレベルで落ち着いてるのは、ドラムやドラマーに敬意がないからドラマーが本質的に頑張れてないんです。


本物が出てこない、来れないのは国民全員の責任です。

「敬意を払う」ことが出来るようになるためには、まずは保育園の先生とか少年野球のコーチとかアマゾンの配達の方とか、身近なひとに挨拶やお礼を言えるようになることでしょうか。

知らんけど。

先日レコーディングに来てくれた平均年齢19.5歳のGriev fib(グリーフ フィブ)のみなさん。  彼らが日本の〇〇をぶっ壊してくれるのを願ってます。

先日レコーディングに来てくれた平均年齢19.5歳のGriev fib(グリーフ フィブ)のみなさん。

彼らが日本の〇〇をぶっ壊してくれるのを願ってます。

頼むからもう少しドラムに気をつかってあげてーな。

こないだ某バンドさんとそのマネージャーさん含め打ち合わせしてましたら、


マネさん「昨今のこのジャンル(あえて書きません)はレコーディングでも(ドラマーがメンバーにいるのに)ほとんど打ち込みですし、ライブはトリガーが多いですね。」


江戸前「えええ?まさかそこまでとは??」


マネさん「一部のプロバンドを除くとそんなもんですよ」


江戸前「。。。。。」


まさか、まさか!そこまでとは。。。

うっすら気がついてましたけどね。

てか、ちゃんとドラム録るだけで勝てるやん。。。


閑話休題。


世界的な有名トップドラマーが来日した時にそのライブを映像化するっていうので映像と音を撮ったというのですが、


「音に本人のNGが出たので江戸前さんなんとかしてください(泣)」


という仕事がある日来まして、


江戸前「ミックス?任せなさーい!」


「すいません、音はPA出しの2mixのラインをポータブルレコーダーで録ったやつ”しか”ないんですよ」



江戸前「ええええええ?!???」



お、おいおいおいおい。。。。



世界的なトップドラマーのライブを映像化するんでしょ?

映像化の前に”音源化”だよね。。。


カメラは何台も入れてゴージャスに撮ったらしいのに、何故音はそんなに軽い扱いなんだろうか。何故マルチレコーディングで録らない?昔みたいに中継車みたいなのを横付けする必要もないのに。。。

その有名ドラマーに対して失礼でないかい?

(マスタリング”だけで”なんとかOKをもらえた。)



これが、日本のドラムに対するいや、音楽や音に対する現状です。

意識が余りにも低い。。。


意識が低いというより、意識すらしてないのか。。。


大型フェスでも同じ機材使ってるのになんで外タレと国内のアーティストじゃあんなに音が違うの?


などなど。



皆さんの周りにあるモノ。

ほんとーに音として音源として、(音楽ジャンルによらず)ちゃんとした意識を持って作られたものなのかどうか?

それをじっくり検証してみるだけでかなり勉強になりますよ。


音楽で行きたいんですよね?

ドラムで喰っていきたいんですよね?

(某コンテストの動画音源しかり)

てか、ドラマー本人も「エンジニアさんがなんとかしてくれるから大丈夫」」なんて思ってるんじゃないでしょうね?!

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何故古い楽器はいい音がするのか?(何故デジタル楽器は音が悪いのか)

ドラムでもピアノでも琵琶でも古い楽器というのに沢山仕事柄触れて来ました。で、必ずと言っていいほど「素晴らしいサウンド」なんですよね。(音響機材にソレを感じるかはまた別の感想を持ってますが)

なんででしょ?

まず良く言われるのは、当時の楽器の製造の技術や材が良かったのでは”なく”、一定の割合で存在していた「当たり個体」だけが残っている、という説です。いい音を出すから大切にされて残ってる、悪いモノは既にない。。。

これはほぼ間違いないことでしょうね。

ただ、古い楽器でも音楽室の倉庫の片隅に打ち捨てられてるようなモノはそんないい音がしない感じがしますがね。

あと、古い楽器がいい音である理由としてはこっちがデカイと思うんですけど、古い楽器のオーナーはそもそも「楽器を大切にしてるオーラが凄い」ってことです。

同じモノを食べてるのにやたら「美味しい美味しい」って態度に出して食べる人いますでしょ?

あぁいう感じのオーラが出てる。
だからさらに楽器が大切にされてる感も漂うし、本当にいい音なんだ感が二倍にも三倍にも増幅する。

いや、これでいいと思うんです。
これが楽器や音楽には最も大切なことの一つなんです。

不思議なのは「一切外見的な手入れをしてない(手垢だらけで拭かれてもいない)」のに、物凄くその楽器を大切にしてるオーラが出てる人もいるってとこですね。真逆の常にピカピカに拭いて仕舞ってる人もいますけどね。(笑)
見た目汚くても音は素晴らしいっていう。そうなってくるとさらに「すげーいい音オーラ」がまた漂ってきちゃう(笑)。イングヴェイなんてギターをぶん投げる程に大切にしてる感が凄いすからね(笑)

で、僕がデジタル楽器をあんまし好きになれないのは、特にソフトウェア音源が嫌いなのはそこですね。「大切にする」という概念と非常に相性が悪いんです。そりゃ「愛用」はみなさん大勢してるでしょうけれど。

デジタル楽器や音源てのは「死ぬまで使いたいし、死んでからも誰かに大切にしてもらいたい」みたいな感情を持つことにはかなり無理があります(俺は)。

メカ的な意味で故障したら直すのが非常に困難だし、ソフトウェアの場合ホストPCの状態やOSのバージョンとかでいつかは必ず「死ぬのが確定している」んですよ。

同じデジタル楽器でも初期のシンセサイザーとかDX-7とかあのへんのは「デジタルの発音原理だけど、オペレーションは限りなくアナログ」なので、そういう愛着がまだ湧きますがね。

結局音楽なんてのは人間が聴く為に存在してるし、感情に訴えかけるものなので「そういったサイドストーリーや見た目」って非常に大切なんですよね。

もちろん「そんなチンケな感情論はいらねぇ」って人も沢山いますけどね。

愛着といいますと、レコーディング作品にも言えるんですよ。

良く出来た感じの音楽だけども「各サビのフレーズはコピペ」ってのと全てちゃんと演奏されてるのでは愛着が違ってきます。
ちゃんと歌ったものと「修正された」モノでも違ってきます。愛着が。
「聴くたびに発見がある」なんて古い録音作品では良く言われますが、「コピペやん。全くニュアンス一緒じゃん」って気がついちゃったら愛着もクソも持てないですよ。

ま、僕はですけど。

もちろん「ワザとそういうアプローチを取ってる音楽」は別ですがね。

結局、楽器も音楽も残ってるものがいいってなっちゃうんですよ。

残していきたいものです。

101歳のフランスのヴィンテージピアノ。過去の何代にもわたるであろうオーナーたちの愛情が詰まっている感がすごい程にいい音がします。

101歳のフランスのヴィンテージピアノ。過去の何代にもわたるであろうオーナーたちの愛情が詰まっている感がすごい程にいい音がします。

リアルさとリアリティーをはき違えた音楽たち?

私、パニック映画の類いが大好きでして特に「2012」って映画がありましてCG•VFXのオンパレード。これでもかという「リアル」な映像が2時間びっしり。マグニチュード100みたいな大地震が起きて世界の大陸が崩壊するみたいな内容で。まぁ有り得ないわけですよ。有り得ないから楽しめる。


その「有り得ない」ってのは「リアリティがない」ってことですよ。あんなにビルが崩れ地割れが出来てどんどん街が崩壊していく中で車で無事に脱出出来るわけがないんです(笑)。リアリティゼロ!


けど映像は「リアル」なんですよね。


実際の英語の意味は厳密には知らないですが、日常的に使う「リアル」と「リアリティ」の意味の差ってあると思います。

「リアル」は本物ぽさがどうかという言葉であり、「リアリティ」は現実的かどうかについて指す言葉である気がします。


音楽やレコーディング作業に於いても「リアルさ」の追求は沢山あります。ギターアンプシミュレーターでもビンテージ機材のプラグインでもそれこそデジタルドラムやドラム音源にしても。


表現の手法や方向性としてそれらを逆手に取る場合は除きますが、なんと「リアル」と「リアリティ」を履き違えたものが世の中に多いか。


超高速ツーバスをリアルに打ち込みやエディットで作ったとしまして、それはリアルだけどどんどんリアリティがないものになるような気がします(ホンマに叩いてるんかいな的な)し、演奏の精確さを追い求めすぎるのもリアリティが無くなっていきます。

果たしてそこまで〇〇な演奏が本当にやれてるのかどうかという点においてですよ。


人間なんですから少しミスってる方がリアリティは出ますよね。


写真や映像でもあまりに高精細過ぎるリアルな映像でエロを見せつけられるよりも、少し薄暗くムードのある淡い感じの映像の方が逆にリアリティを感じるでしょう。


リアルさを求めすぎてリアリティを削いで行くとだんだん「嘘くさく」なっていくんですね。それはレコーディングでも一緒です。


完璧な姿や演奏を見せたい聴かせたいが為に編集を完璧にする。というのは「人間にはそういう見栄やエゴがある」ということについてリアリティがあると言えるかもしれませんが、音楽の本質とはかけ離れていく気がするんです。


ところで、さっき淡い光の中で少しボヤけてるぐらいのイメージのほうがエロいと書いたのですが、そこにリアリティを感じれるかどうかというのは実は人によって違うものです。

“そういう経験をしたことがあるかどうか”によってリアリティを感じるかどうかがまた変わってきます。

「そんなこと経験したことねぇよ!」という人にはリアリティを感じることは難しいでしょう(笑)。


つまり、音楽の大事な本質の一つだと僕が思う「(音楽の)リアリティ」を養う為には、色んな音楽を生で聴き色んな人達と色んなシチュエーションで演奏して•••••という沢山の経験がモノを言うということに、


やはりなってしまうんでしょうねえ。。。。

ただ、リアルとリアリティーそして非現実さのバランスをどう取って行くかが、生演奏とは違うレコーディング芸術の醍醐味であるのも真実です。


演技でもなんでも一緒すな。


例えばこのマイクで声を録ってみてください。とんでもなく嘘くさい声になります。しかしこういうリアルさの全くないマイクを使うことでリアリティーのあるバスドラサウンドを収録できたりするのです。『リアル』と『リアリティー』って不思議な関係ですね。

例えばこのマイクで声を録ってみてください。とんでもなく嘘くさい声になります。しかしこういうリアルさの全くないマイクを使うことでリアリティーのあるバスドラサウンドを収録できたりするのです。『リアル』と『リアリティー』って不思議な関係ですね。

「いいね」と対極にあるべき「音楽」

湯水の如く流れて来ては過ぎ去って行くツイッターやインスタのタイムライン上の動画やちょっとした音楽の断片。

一瞬見てピンと来たら「いいね」。。。


生演奏しか無かった時代の「一瞬の出来事」であった音楽は、素晴らしい演奏であれは人々の記憶に残る「一瞬の芸術」といえました。


何故なら生活の中で量産されるようなモノではなかったから、一つ一つが生活の中で相対的に貴重なモノだったのですね。


CDなどのレコーディング作品は、いいねが付くようなSNSのタイムラインで大量に消費される、単に陳列されているだけの音楽や写真とは本質的に違う存在なのです。きっと。

いつまでも手元に置いておきたい(CDであれ、データであれ)モノであるべきなのが音楽であり「作品」。


SNSに手軽に上がってるモノで手元に永遠に置いておきたいものがあるでしょうか?


音楽という存在とはなにか、その意味とはなにか。


永遠に残しておきたいと思える音楽や作品とは何か、それはSNSに気軽に上がっている音楽や映像の断片や写真とどう違うのか?


というような事にもう少し考えを及ばせて行かないと本来の意味の音楽は滅びます。


それについて考えを及ぼすことが、いいドラムを叩くきっかけになるでしょうし、いい音のいい音楽を作るきっかけにもなるし、


レコーディングという作業をどのように考え進めるべきか、どのような手法を取り入れどのような機材をチョイスするべきか。(演奏の修正やコピペをどう考えるべきか、音圧や音のバランスはどうすべきか、ビンテージLUDWIGを使う意味とは、NEVEとはノイマンとは、、、、)


全てに繋がると思っています。

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あなたはいったい音楽の何を聴いているのか?

少々写真もやっておりまして時に感じることがあるのです。

あるところに人物の写真を専門とする写真家がいて、美しい女性を写した素敵な写真があるとします。そこには使用機材の説明もついています。


あるひとは「美しい写真」だ!

と言い、

ある人は「このレンズの写りは素晴らしい」といい、

ある人は「なんて美しい女性なんだ」

と言いました。


さて、この写真がどのような意図で撮られたのかにもよるのですが、おそらくこの被写体が「美しい女性」であることを伝えたくて撮られた写真なのではないでしょうか。


だとすると「なんて美しい女性なんだ」という評価がその写真家にとって一番嬉しいことかもしれません。それを伝えたくて撮ったのでしょうから。


そして「美しい写真」であるかどうかは「美しい人が美しく写っている」ことで、そのことを含んでしまってると言えますし、いいカメラやレンズであることもそれが示唆してるとは言えませんか?


とすると、

人が音楽を聴く時、

「いい歌だ」「いいメロディだ」「心が癒される」「元気になる」etc.であることが本当は一番素敵なことですよ。

つまり、それらの評価はきっと「いい音質だ」とか「いいドラムサウンドだ」とか、

「さすが〇〇のマイクは素晴らしい」

というのを含んでくることになると思うのです。

つまり、素晴らしいドラムのプレイがあるとしても、

「素晴らしい楽曲だ!」になるのが一番素敵な事だと思うのです。


「〇〇のスネアは素晴らしい!」

「〇〇のマイクや機材はいい音だ!」

となるとしても、例えそこに目立つキャプションが付いていたとしても、音楽にとってはそうなりたくないし、そういう聴き方はしたくないものです。

楽器や機材は音楽のためだけに存在し、なるべくなるべく目立たないポジションにいるのがベストだと思うのです。

なんの機材使ってんのかなー?って一番先に思われる音楽や写真ではありたくないのです。

そして、そうならない音楽ばかり聴いていたいし、作りたいものです。

使用レンズ : Carl Zeiss Planar T* 50mm f1.4 zf、 モデル : ANZU  富士の樹海にて撮影

使用レンズ : Carl Zeiss Planar T* 50mm f1.4 zf、 モデル : ANZU  富士の樹海にて撮影

なんでみんな機材の話しが大好きなのか。

先日、トップクラスのカメラの愛好家の方々に接する機会があって非常に楽しい時間を過ごす事が出来ました。もう知らないことや初めてのことばかりで。。。。


それは写真展をやってるサロンでの出来事だったけども、しかし終始「カメラ」の話しばかりで「写真」の話しにならない。

なんでだろう。


ミュージシャンやエンジニア関係の集まりでも「楽器•機材」の話しにはなるけど「音楽」の話しにはかなりなりにくい。

なんでだろう。


それはやっぱ「機材」の話しはあたり触りがないからなのかな?

作品そのものを話題•批評するのはコミュニケーションするにあたりリスクが高い。言い争いや炎上になりやすい。


しかし「機材」の批判なんてのはまだ人それぞれな部分があるし、好き好きである程度割り切れる。


音楽そのものや写真について話すのは相手のプライベートや精神の領域にかなり深く突っ込んでいくためにハードルが高いし、こちらもあらゆる事が問われる。こちらの矜持も問われる。また、踏み込まないのがマナーでもある、のか。


それは争いごとを本質的に避けて、相手に忖度する日本人らしい気質な気がするのだった。


あと、なんやかや言って機材で音楽や写真を「作ってる」という深層の意識があるのかもしれない。

いや、写真の人のほうが「そうでない」ということをまだ良く理解していると思うけど。

あ、あづい。38度。


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クラシックレコーディング体験企画 於 函館のお知らせ

このところクラシック関連のレコーディングでお世話になっている函館の『サロン・エラール』さんでこの夏、クラシックのレコーディングの体験企画をせせていただくことになりました。エラールさん所蔵の1918年製のフランスのビンテージピアノ『エラール』を使用してのレコーディングになります。

ピアノソロやピアノ+歌、+バイオリン、+フルート、+クラリネット、、、、等のアンサンブルにおすすめです。

最大ではpiano+弦楽4重奏くらいまで対応できますよ。

こちらのピアノ『エラール』は日本はおろか、世界でも珍しいオリジナルを保った個体で大変貴重なものになります。最近の古楽器ブームで世界的に注目されている楽器なんですよ!

ドビュッシーやラヴェルなどのフランス作品はおろか、モーツァルトやショパンにも合うことでしょう。バッハとか最高だと思います。ピッチは442になっているそうです。

現代のピアノよりも繊細な音がする、大変芸術的な見た目も美しい楽器です。

函館や札幌のみなさま、貴重なこの機会にぜひレコーディング体験を!お安く設定しております。

また、オプションでアーティスト写真の撮影もいたします。お待ちしています。

お問い合わせは当サイトから、またはこのフライヤーの『サロン・エラール』さんまで。

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『御大』工藤義弘のSOLO!

去年の今頃でしたか、EARTHSHAKERの新作アルバムのレコーディングを江戸前でさせて頂いていました。

その時、最後に僕の個人的な要望で記念に録音させて頂いていたドラマー工藤さんのSOLOテイクをご本人のご好意で公開させて頂ける事になりました。

ドラムは全てPearlのMasters Customで、26インチのツーバスに4タム2フロア!江戸前史上最大の19本のマイクが使用されています。

最近は2-3本てのが多いので(笑)

※ちなみに去年のドラマガのドラムソロ特集の収録で同じ工藤さんをESPのホールで録ったときは21本だった気がします。

今回公開するサンプルをミックスしていて、『なんかがESPの時と音がちがう。なんかが、違う。。。』

そりゃ大きめのホールで録ったのとウチではそりゃ違う、しかしそれ以上に違う。なんでだろ。。。

と思ってたんですが、そりゃ違うわ。タムのヘッドがESPの時はコーテッドでしたが、今回公開させて頂くのはピンストでした。どちらが好きかは好みですし、工藤さんも経験による大きな計算があってヘッドを使い分けておられます。今回公開させて頂く音とドラマガでの音、基本的なマイキングや処理はほぼ一緒ですが、どちらが好きでしょうか?聴き比べしますと楽しいかも!

※EQはタム類のマイクの超低域のcutのみ使用。コンプ未使用。

マスタリング処理済み。

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機材選定という地味な愉しみ

今度始まるアコギとエレクトリックギター二人だけの珍しいデュオのレコーディングの為に、機材チェック。

コンデンサーマイク4本とマイクプリ7種。

マイクは67等を抑えオーディオテクニカの4080が最高評価。

マイクプリはRMEとapiが圧倒的に高い評価でした。

特にapiはローがあるのに遅くないところ、RMEは全くもたつかないサウンドなところが良いと全員一致の意見。

オーバーロード気味にして録るドラムとはまた違う評価の出方かもしれませんが、とにかくapiを良くないという人は全く見かけないですね(笑)

今回のテストで特にクラシックにはapiとRMEの組み合わせが最高そうという予想がほぼ事実だったのが証明された感じ。

クラシックの録りでは天まで届かんばかりの高域の艶が必要だけど、そればかりだと細くなりがちなバイオリンやオーボエ、トランペットなどの楽器にapiか豊な太さを与えてくれそうです。

この夏はクラシックのレコーディングの企画もあるので楽しみです。

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今は失われたかもしれないジャニーズの凄さ

ジャニー喜多川さんが亡くなって死ぬほどジャニーズの曲が掛かってますが、やはり何が凄いってあんなに上手じゃないのに素晴らしい『歌』が過去に多かったってことだと思います。

真の意味でホントに歌の上手な人ってジャニーズにはいないんじゃないでしょうか?雰囲気的に上手い感じの人は何人かいるけど。

マッチしかりSMAPしかり嵐しかりTOKIOしかり。

壊滅的に上手ではない。もうどうして「そこだけ」抜け落ちてんのってぐらい(笑)

しかし、その上手じゃなさが非常に音楽的な魅力に昇華してて音楽として唯一無二のパワーを持ってる気がするんですね。

夜空ノムコウの中居くんの歌なんか鳥肌立つぐらい良い。

ジャニーズは踊るし演技もするし、バラエティもやる。歌は一要素でしかない、けどどうしてあんなにみんな心を込めて素晴らしい歌を歌えるのか。

例えば、世界に一つだけの花はエグザイルとかが歌ったら興ざめでしょう(笑)


ジャニーズの昔の(最早SMAPの代表的な曲も”昔”)を聴くと本当にいいなと思う。

しかし、最近のは。。。。。。

歌の魅力が半減してる気がします。

怒涛のレコーディング技術の進化(?)による編集で。。。。

ホントに「歌」がつまらない時代になりました。

SMAPなんて収録のレコーディングスタジオに全員揃うことはなく、一人一人さらっと歌って帰って行ったなんていうけど、なんであんなに全員一致した素晴らしい歌のバトンを渡せるのか。

それはプロフェッショナルだからに決まっている。

↓日本歌謡曲史上最高の名盤のひとつ。。。。

ニューヨークの一流ミュージシャンの演奏すら霞む歌たち。

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ドラムの位相の問題を解決する方法として知られていることがとても問題である件

ドラムと言えば位相ですね。

※そうなん?(笑)


ドラムのレコーディングについて調べるとwebでは位相云々が出てきます。

ウチのブログも結構出てきます。(笑)


で、僕はそんなこと書いてないんですけど位相の問題をクリアするには

「位相のズレやすい音域を始めからカットしちゃう」って事を色んな人が結構書いてます。

そうです、「位相の問題を優先しすぎて、ドラムの音としては必要な音をカットしてる可能性がある」ってことなんですよ。


主に位相が問題になるのは中低域ですが、その為にドラムの美味しい音成分をレコーディングエンジニアが何の権限か知らんけど勝手にカットしちゃう。ドラマーから見たら「えー?そこ一番美味しいとこなのになんでカットすんの?大泣」みたいなことをやらかしてる。(ドラマーから見たら位相なんて知ったこっちゃないんで)


良く考えて下さい。位相ってのはインタラクティブなもんなんですよ。(笑)なんやねんインタラクティブって、「相互関係」です(笑)


例えばタムの位相問題ってのも「タムのマイク」と「トップのマイク」の相互関係があるから起きるんです。基本的には。(ほんとは他のマイクも全部関係あるけど)


だから本来どっちのマイクからもローをEQしカットするなんて必要はない。

どっちかだけ適切に処理すればいい。しかしどっちも捨ててしまったりする訳です。位相云々の為に大切な美味しい音の成分を。(エンジニアの未熟さによる都合で。。。)


というか、江戸前のレコーディングでは例えドラムにマイク22本立てても、セッティングの初期の段階のチェックですら位相の問題なんてほっとんど起きません。まずゼロ。


多少引っ込むタムがあるかなぁって時があるくらいです。そこで別にEQなんて使いません。

マイクをほんの少し動かすだけで解決します。


本当に位相が問題になることなんてないので、EQなんか使うわけないんですね。


マイクの位置で全てなんとかなるのが位相だと理解するべきです。


他人の録ったドラムをミックスする際はどうしようもないのでEQするしかないですが、波形ズラすとか。


厳密に言うと色んなテクはありますけどね。そこは言葉で説明出来ないことなので書きませんが!


一言言えるのは、マイクの位置が全てです。


EQやコンプやるほど位相はこんがらかるし、シンバルの音はウソくさくなりますよ。


まぁ、その特性を音楽的な説得力を持って利用するのは当然正しいアプローチですし、僕もやりますけどね。


補正として使うのは未熟だと言えます。


※ツイッターやめたからブログのいい方がストレートになってんなぁ(笑)

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原音忠実とはなにか?

世の中、ちょっとオーディオや音楽に凝ってる人にはおなじみの「ハイファイ」とか「ハイレゾ」とか「原音忠実」。


ハイファイやハイレゾはなんとなく機材スペック的に性能がいいのを指すのはわかりますが、では原音忠実とはなんなのでしょうか?


言葉から連想されるのは「ありのままの音である」ということでしょう。

しかしレコーディング的に「ありのまま」であろうとするのは物凄く難しいのです。不可能です。


デジタル録音ならその性能の範囲であればどの帯域でも正確に信号化出来るのはほぼ間違いないです。


では、何故難しいのか。。。

それにはひとつ。マイクの性能は耳とは違うというのがまずある。

そして、再生するスピーカーやヘッドフォンも特性がまっすぐではないのです。


そもそも耳と違う性能のマイクで記録したものを、またいびつな特性のスピーカーで再生する。何枚もの歪んだガラス越しに見てるのに等しいわけですね。まぁ、高性能のレンズに例えるほうが正しいかもしれませんが。


そうです。写真の世界では記録色と記憶色という言い方があります。

印象的だったり素敵な風景や光景というのは頭のなかでもっとドラマティックだったり美しく脳内変換されるのです。例えばもっと鮮やかな夕陽や青空や青い海に。。。



オーディオや音響の世界にも似た用語があります。


「物理量」と「感覚量」です。

物理的に10の音があったとして、耳には8に聞こえたり15に聞こえたりするのです。

それは各人の耳の誤差や環境により大きく変わってきます。

年齢でも変化するでしょうし、その時の気分ですら変わるでしょう。


そうなってくると一体「原音忠実」とはなんなのでしょうか?コンサートホールやライブハウスで感動した音楽や音を思い出して下さい。


原音忠実とはあくまでも周波数特性的に原音に近ければいいのでしょうか?

しかし、それは環境や各人の耳の特性等と合わせると決して忠実とは言えない。


とすると結局、そのもともとの音や音楽の印象に感覚的に近いもののほうがもしかしたら「原音忠実」かもしれません。上手く描けた似顔絵のほうが忠実にその人の人柄を表してる、みたいな。


つまりレコーディングスタジオで音楽を収録する、というのは本来のその「音楽をどう表現し伝えたいのか?」を具現化する過程になります。

一つ一つの音楽にとってふさわしい音をふさわしい方法論でレコーディングし、作品化していく。


なにもハイファイにフラットな「つもり」の機材で録音したから原音忠実で素晴らしい録音かどうかなんかはわからないんですね。


そこをどういう技術や機材やプロセスそしてスタンスでレコーディングしていくか、具現化していくのかを追求していくことが、一流のレコーディングエンジニアリングであると信じているわけです。


俺にそれが出来てるとは絶対言わんけど。


結局、原音忠実であるかどうかなんてのは感覚量に大きく依存する音楽そのものにとってはあまり大した問題じゃないのかもしれません。


結局は「作品」としての質が全て、なのでしょうね。

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my twitter is dead

おはようございます。

長いあいだ過ごさせて頂きました江戸前のツイッターですか、昨日終焉とさせて頂きました。

特に引き金になった事柄や炎上があるわけではありませんが、一つ色々変革していこうかなと思いまして。

一つ、可能性としては写真のアカウントとしていつかまた始める可能性があるかもしれませんが(笑)

引き続き、江戸前の営業やご相談等は普通に当たり前ですがやっていきますので、このブログやウェブの方をご贔屓頂けますようお願い致します。

ツイッターでご挨拶しても「消せば消えちゃうし」と思い、特に前触れもない感じで大変失礼いたしました!

悔いがあるとすれば、炎上ってしてみたかったなーって事ですか(笑)

なお、instagramの方はem0510gsでやってますし、お問い合わせはもLINEのem0510gsでやってますんで、そちらへどうぞ。

ツイッターでお世話になってた方でインスタをやってらっしゃる方は見つけ次第そちらでフォローさせて頂くと思うので、その際はまたよろしくお願い申し上げます。

早く行け早く行け見失わないうちにGO AHEAD!

異次元探査転生へ。。。。

江戸前レコーディングス

しかま

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レコーディングエンジニアの『チカラ』と『権限』についての一つの問題提起

いーちにーいさーんしーい!

と、

いっちにっさっんし!

では気分やノリが違う訳です。

では、ドラムに置き換えてみましょう。

1と3はバスドラ
2と4はスネアにしましょう。

それはチューニングで音の長さをどう設定するかと同じです。

そのテンポやグルーヴ、リズムパターンに合う音の長さ「音価」があるわけです。
ドラマーはみなその長さやそれに対になるアタック成分のバランスを絶対本能的に気にしています。楽器のチョイスからそこは大事ですよね。

レコーディングエンジニアはその出た音に対して絶対的な「操作するチカラ」を持っています。音色を変えるチカラを持っています。実は倍音成分のどこかをマイナスにしたりプラスにしたりすれば音色が変わるだけでなく、音価が変わる可能性が大きいのです。コンプもそう。

「音色が変わるだけでなく、音価が変わる」
「オケの中での聴こえ方以前に音価が変わる」のです!。。。

音価は音楽を演奏する上での大事な要素の一つ。

音色や音程などと同じぐらい尊いものです。

それを弄るチカラを持ってるんですよ、レコーディングだったりミックスをするエンジニアは。

それを「権限」だと思ってないですか?

洋服を着物に変えるぐらい、一重の瞳を二重に変えるぐらい、ふくよかな体型をスレンダーに変えるぐらいのことが出来ます。

果たしてそれを結構勝手目にやっちゃっていいんでしょうか?

ドラマー側も「そんな服着てないです!そんなにガリじゃないです!」

ってもっとレコーディングエンジニアに言っていいと思いますよ。

ほかのメンバーに対してもね!

夏、来てる?

夏、来てる?

「音色」とはなにか?と、機材の相性について

 サイン波っていうのがありますね。


一つの波だけで出来たピーって音が。あの音からは音程を感じることができます。ドレミ的な。


ではあのピーの音と同じ音程であるけどもピーじゃない音色、ピアノだったりバイオリンだったりギターだったり声だったり。


何が違うとそう感じるのでしょう?

それは「倍音」構成です。


倍音とは元のピーにたいしてどんな音程の違うピーが重なってるかってことです。簡単にいうと。

その倍音の重なり方の違いが音色になるんですね。

(音色というものには、そのほかにも時系列による重なり方の遷移や、音の出た瞬間のそのアタックの出方などたくさんの要素が絡みますが、割愛)


倍音の重なり方の個性だったりピークをフォルマントと言ったりします。この分布の違いが例えば人の声質の違いになるわけですが。


つまり、倍音がどう出てるかでいい音に聞こえたり悪い音に聞こえたりするわけです。


ギターのディストーションも倍音の強烈な付加の結果です。

ポーンって音がビョーンって変化するわけですよ。エフェクターやアンプの電気回路に負荷を掛けて「発振」させてるわけです。わざと。それが美しくなるように設計されてる。


ギターの弦やベースの弦の種類の違いも倍音の違い。ドラムのヘッドでもコーテッドの音とクリアやCS(コントロールドサウンド、まさにその意味!)の音の違いも結局は倍音の違い。それをさらにチューニングでコントロールします。

スネアならスナッピーが倍音の強烈な付加を手伝ったりします。


シンバルなんてのはもう基音がなんなのかわからないくらい、音程を感じないくらいのランダムな倍音の集合体なわけです。つまり基音が少ないからシンバルには殆どキーという概念がないわけですね。スネアやタムはもう少し音程を感じる事ができますが。(チューニングによる)


このように世の中の楽音は全て基音と倍音のバランスによって成り立つと言えます。


江戸前ではよく「スタジオのビンテージ機材による音色感はドラムのチョイスやチューニングで出せる」と言ってきました。


それはつまり楽器側の倍音コントロールで結局は似たことが出来る、という意味なんですね。


EQはわかりやすく倍音をいじるものなのはお分かりでしょう。コンプも時系列に対し倍音をコントロールするものと言えます。(また、単純にその回路により独特の倍音が付加されるのもある)


NEVEやSSLなどのマイクプリの個性云々、それらを通すとシルキーになるとか太くなるなんていい方も倍音がどう負荷されるかって事です。


スタジオのレコーディング機材にも種類があり、音を変えないほうがいいという考えで作った機材もありますし、音をいかに美しく変えるか?をコンセプトにした機材もある。当初の設計のコンセプトは違ったけども、音を突っ込んだらいい倍音がたまたま出たことが個性になっている機材もある。


学校の体育館での朝会のマイクの割れなんてのもきっとどっかでツマミを上げすぎてるわけですよ。ギターの最初期の歪みもそういう意図せず歪んだらかっこよかった、というやつのはずです。それが歪ませるのを目的とした機材の登場につながっていくわけです。


ツマミを上げた時にどう音楽的に割れてくれるか、つまり歪んでくれるか?

その倍音の付加具合がその機材の音色的な個性になります。


けど、ドラムやギターに例えるとチューニングやエフェクターによって程よく倍音を付加してあって既にいい音色になってるのに、二重でレコーディング機材でそれをまた増やしたりすることも起こり得ます。それは結局音を限度を超えていじってしまい崩壊させる結果になる場合も多々あるのです。


なので、この機材だからなんでも使える。やっぱ◯◯だからいい音だ!というのは、レコーディング全体の音のプロセスから言うとそんな大きな割合の話しではない可能性があります。


同じ機材を使ってもいい音をにもなれば悪くもなる。

同じ太鼓やシンバルでもいい音にもなれば不快にもなる。


これは全て前後のプロセスとの相性、ミュージシャンなら演奏そのものの身体の使い方や力加減の個性だったりとの相性です。


そもそも自分の演奏における音色の個性と楽器や機材の音色の個性がマッチするかしないか。


そういうのを客観視できる耳や感性をもっと持つといいのかもしれません。


レコーディング機材だけでなく、ドラムもギターもベースも機材という機材全部に言える。


これはレコーディングにとって最も大切なことです。


ドラムに関しては僕はそういう聴き方しかしてない、いや、そういう聴き方しか出来ないと言っても過言じゃないかもしれませんがねー(笑)

相性の悪かったプロセスを経た音はこういうことをする必要が出てくる可能性があります    

相性の悪かったプロセスを経た音はこういうことをする必要が出てくる可能性があります 

 

カネタクGLOOOOOOOOOOVE 4 U

先ごろスネア女子のA&F編(こちら)のページで公開した@kanegawa5471 金川卓矢さんによる試奏動画ですが、

ななななななななんと!

その時の別テイクをLOOP素材で使ってみますぅ?のコーナーを金川さんのご好意でご用意!

24bit48kの高音質wav素材です。ご自由に遊んでみてください。リボンマイク2本のシンプルマイキングです。

使い方によってはディアンジェロとか的な質感出せるかも??!!!


チューニングは@kitaz07 北村優一さんです。

GOOGLE DRIVEのリンクですんで、わかる人はダウンロードしていただけますよ。

なんか作ってみた方は是非江戸前twitterまでご報告ください、ご紹介させていただきます!

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エックス (X)の『JEALUOSY』は、なぜあんなに音が良く、名盤なのか。

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江戸前ブログ史上最高viewを記録した「エックスのBLUE BLOODは何故あんなに音が悪く、名盤なのか」に引き続きまして(笑)、、、。


日本の音楽史上最も音がいいと言われるおなじくエックスの「JEALOUSY」。

ではなんでその「JEALOUSY」は音がいいのか?を今回はお送りしましょう。


中学生のころですかね、発売日に買った「JEALOUSY」のCD。「BLUE BLOOD」があまりに酷い音だったのである意味期待してなかったのですがその音のクリアさ、ダイナミックさと躍動感にかなりのショックを受けた記憶があります。


何故ひとは「JEALOUSY」をいい音に感じるのか。


一個一個分析してみましょう。


まず、

1.音に一切のオーディオ的な歪み成分がない。

音が非常にクリアです。歪みは必ずしも音にとって悪いモノではないのですが、前作「BLUE BLOOD」の濁り感や汚さは不要な歪みによる部分も大きかった。しかし「JEALOUSY」のレコーディングではこの、特に”ロック”では大切な要素である「歪み」を一切排除しています。←ここは最後の方に触れます。

(この歪みとは、ギターの歪み•ディストーションとは全く意味の違うものです)


次のポイントは

2.「音のダイナミクスがめちゃくちゃ広い」。

どういうことかと言うとつまり、全ての音が潰れてないんです。これは昨今のコンプだのマキシマイザーだのの未だに潰しまくった音に慣れている現代の中高生にも衝撃を与えています。強い音は強く、弱い音は弱く。しかしポップスやメタルミュージックに大切な「音の均一性」はしっかり担保されています。そう、この「音の均一性」がグルーヴや音質には大切。「揃ってる感・作品感」ですね。しかしこのアルバムでは「音を揃えてるのに潰してはいない」のです。


もう一つは

3.「周波数レンジがとても広い」。

下は30Hzあたりから、上はCDではスペック上22kHzまでですが、しっかり満遍なく出ています。近頃日本のミックスの低域の足りなさが有名アーティストやミュージシャンによってクローズアップされていますが、30年前にして完璧にこのポイントをクリアしていたのです。

しかも豊富な低域は高域にさらなる輝きを聴感上与える働きをするんですね。 同じように高域が出たミックスでも低域が足りないと単にうるさい高音になってしまい兼ねません。



以上「JEALOUSY」の音がいいとされる三つの聴感上の特徴ですが、では何故そういう音に仕上がっているんでしょうか?


最大のポイントは「オーバーロードさせても歪まないマイクプリを使用している」こと!そして「コンプレッサー」を使用していないけど、マイクプリをオーバーロードさせて音を圧縮している。これが音の最大の秘密な気がします。


ややこしいですが、(笑)

つまり、「オーバーロードさせて音の均一性を得ているのに、歪んでいない」んですね!


エンジニアリングを全く知らない方にもわかりやすく語りますと、

マイクから出てくる電気信号は小さすぎてそのまま録音できないのです。そこでマイクプリアンプという機材にマイクを繋いで音を増幅させるのですが、ツマミを上げてマイクからの電気信号を過度に増幅させようとすると歪むのです。ようするに音が「割れる」わけですね。

しかし、多くのマイクプリは「その割れる一歩手前の程よい歪み」に個性を持たせ、それを最大の売りにしています。適正に設計された程よい歪みは音を時として美しくするんですね。また、そのサウンドの違いが個性とされ時に神聖化されレコーディング現場で重用される。


特に「ニーブ」というメーカーのマイクプリはシルキーなサウンドといわれますし、「SSL」にはニーブとは違った美しい歪み感がありそれぞれにファンがいます。他にも様々なメーカーがありそれぞれサウンドに個性があります。


ところが、オーバーロードさせても歪み感を感じさせないマイクプリというのがあるんです。それはapi。このマイクプリはアメリカンな太いロッンロールサウンドなどど言われていますが、しっかり音をほどよく圧縮してくれる(コンプレッサーより自然に音の粒を揃えてくれる)のになかなか歪まないという最高の特性を持っています。


しかも高域も低域も非常に伸びていて物凄くハイファイな特性なんですね。


もちろんニーブやSSLも歪ませない使い方をしますが、そのかわり圧縮感は少なくなる、またはなくなります。そこが最大のapiとの違い。


ここはもちろん想像でしかないのですが、この「JEALOUSY」はapiで録られたモノではないかと推測されるのです。(「JEALOUSY」のレコーディングでメインに使用されたL.A.の当時のコンプレックススタジオの機材の情報はネットでは見つけられませんでした。)

しっかりある程度圧縮を施された、均一性を持った音なのに歪み感もコンプ感も一切ないドラムサウンド。それはもうapiではないかと思うのです。


「BLUE BLOOD」の音の悪かった理由は、先のブログに書いた「部屋の問題」に加えニーブのマイクプリやコンプレッサーにより付加された「歪み感」がエックスのドラムサウンド、バンドサウンドに向かなかった。というのもあったと推測されます。(信濃町スタジオは全てのスタジオがニーブの卓であったし、時代的に外付けのマイクプリを使ったとは考えにくい、なぜなら「卓」全盛の時代でしたから)


加え、特にドラムサウンドがいいのは当時日本より何歩も先に行っていた「ドラムテック•チューナー」の存在。「(BLUE BLOOD」でもおすぎさんという日本の元祖ドラムチューナーさんがついておりましたが。)この「JEALOUSY」のテックさんは後述のエンジニアが連れてきたとか。。。


それとおそらく、僕はYOSHIKIさんの生音を聞いたことがないのですが、

「BLUE BLOOD」のレコーディングで苦労した分おそらく「JEALOUSY」までの間に奏法をかなり無理のないように鍛え直したのではないでしょうか。つまりただパワーに任せて叩きまくるのではなく、適度な音量かつ1番いい音で太鼓が鳴るスタイルへと。。。。


何より音がいいのは本人の音がいいからというのが最大の前提になりますから。


シンバルもスネアも全く歪んでないんですね。おそらくYOSHIKIのサウンドはすぐ目の前で聞いてもパワフルでありながらとても心地よく痛くない音のはずです。


最高のセッティングとチューニングで最高の楽器を最高のプレイで奏でる。

当たり前のことが成立していたと断言出来るでしょう。


それと、少し戻りますが、何故「JEALOUSY」のエンジニアはそのようにコンプも使わず最高にファイファイな音でレコーディングするというアプローチを取れたのでしょう?


それは、「JEALOUSY」のレコーディングエンジニア•ミキシングエンジニアの「リッチー•ブリーン」はジャズやフュージョン系のサウンドを主に手掛けるエンジニアだった、ということです。

自然にダイナミックでHi-Fiにという、全くロックやメタルのエンジニアとは違うアプローチをそもそもしていた可能性があります。


このエンジニアを探して来たのは亡きTAIJIといいます。ロックやメタルだけでなく幅広く音楽に精通していた彼らしい逸話ではないでしょうか。


で、


最後にもう一つこの完璧なサウンドが完璧な状態でCDになった奇跡。


それはマスタリングの素晴らしさもあると思います!

マスタリングは信濃町スタジオの巨匠田中三一さんですが、もうレジェンド中のレジェンド。デジタル処理によるマキシマイズの技法が産まれる前の真の巨匠ですね。

しかも、この「JEALOUSY」のリリースされた時期がまたよかった。


いわゆる「音圧戦争」にまだ突入する前の1番いい時代だったのですね。


「サイレンジェラシー」を聴いて見て下さい。サビ前のストリングスのフレーズがバッと前に出てきます。そしてなによりラストのストリングスのクレッシェンド!!うおぉぉおって感じで大きくなって曲が終わります。これは今のひたすら圧縮するマスタリングでは不可能な音楽表現。(ちなみにリマスター版ではここの部分がかなり犠牲になってました。。。。音圧あげちゃった分。悲し)


さて総括しますと、

「api」(と思われる)による歪みを加えることのない、しかもコンプを使用することなく圧縮感(均一感)を付加したレコーディングとミックス。マスター段またはマスタリング段においての「本当に薄く薄く掛けたトータルコンプ」による絶妙なサウンドコントロール。これが秘密か?!で、いつも言ってますが、ドラムの音がよければ他の楽器も全部いい音に出来るんです。。。。。


『レコーディングエンジニアの技術とセンス、そして絶妙な時代であったが故の最高のマスタリング』


そしてなによりも「BLUE BLOOD」で失敗したサウンドを二度と繰り返したくないというYOSHIKIをはじめとしたバンドメンバーの気合いと情熱が(あくまで想像だけど)「JEALOUSY」をエックスのもう一つの金字塔にさせたのは、言うまでもありません。


「いつまでも聞ける最高の音楽を目指しています」YOSHIKI


これは30年経って完全に実現され、証明されています。


ああ、コンプよさようなら。

※江戸前ではこの夏apiを8ch導入いたします。お楽しみに。

「マイクの吹かれを過度に嫌うエンジニアは蒼井優に耳元で囁かれたことが無い悲しい男」

昨日のBLOG

『X(エックス)の『BLUE BLOOD』はなぜあんなに音が悪く、名盤なのか』

https://www.edo-mae-recordings.com/blog/2019/6/4/x-blue-blood

は、すごいアクセス数でした。今日はその続きの『なぜ音が悪いのかpart2』を書こうと思ったのですが、かなり危険な内容な気がしましたので、あと10年ぐらいお待ちください。

さて、今日は真面目な話。

「マイクの吹かれを過度に嫌うエンジニアは美女に耳元で囁かれたことが無い悲しい男」。

そんな仮説を提唱する僕なのですが、実際マイクの吹かれに神経質なエンジニアやプロデューサーさんは本当に多いですね。特に日本人、その気質と思われます。

「大丈夫。吹かれてない?」
よく言われます。(笑)

そんなとき、『吹かれてるぐらいで丁度いいんすよ!』
と平気で言います。僕(笑)

これ絶対吹かれちゃ駄目なマイク!!リボン!!

IMG_0980.JPG




まず第一に僕が気がつかないわけはないんですよwww。
どんな些細なノイズやピッチのズレ等、気がつかないということはマズありません。

問題はむしろ、マイクの吹きが醸し出す音楽的魅力やリアリティに『皆が気がついて無い』ということにあるのです。

吹かれって基本的に低音で「ボフっ」ってなるんですが、そんなものは帯域コンプや波形処理でどうとでもなる。
吹いたから録り直しなどは完全にナンセンスなのは言うまでもありませんが、吹いてるからこそゾクって来ることもありますよ?

フランス語のシャンソンとかマイクに近接する程エロいです。リアリティ。
これはマイクに近接して収録するレコーディングだからこそ得られる、リアリティとはいえないでしょうか。
離れて鑑賞するライブでは得られないからこそ聴ける音楽表現。レコーディング作品の素晴らしさや録音の芸術がここにあります。



例えば、オーケストラのオンマイク収録。

好みの問題もありますが、指揮者が構えたであろう瞬間の奏者の身体の動きを衣装の衣擦れや呼吸音に感じる事が出来ますでしょう?今まさに迫真の演奏が始まるという気配。。。。

これがリアリティなのです。
リアルには本来客席ではそのような音はほとんど聴こえません。
しかし、それを捉える事が出来るオンマイク収録。

「リアルではなく"リアリティ"」

そんな感じでレコーディング現場のリアリティを一番伝えてくれる一つのエッセンスがマイクの吹かれだと思うんですわwwww

Gabrielle Aplin / Salvation

曲全体でマイクが吹かれまくっています。
それを気にならない程度まで丁寧に処理してあります。聴いてみてください。

マイクの近さから来る息づかいやLIPノイズまで含めた”リアリティ”が素晴らしいです。
ゾクゾクしますね。
それがアレンジや映像と相まって見事なアートに昇華しています。

この歌を吹かない距離で録ったら味気ないと思いますよ。。。。。
ここまでセクシーな録音はないです。
mixまで含め完全にコントロールされ尽くした曲。
この曲だけでなくこのCD『ENGLISH RAIN』全体が素晴らしい曲とサウンドに埋め尽くされています。


さて。

あとセクシーと言えばこれ。。。。

このCDはド頭歌い始めからいきなり吹いていてしかも全編に渡って吹いているんです(笑)。
※この曲は4曲目。

当時は沖縄民謡はおろか沖縄にも全く興味がなかったのですが、このCDはタワーの視聴機で聴いて一発でノックアウトされたものです。

『なんなんだこの近さとリアルさは!!そして声の説得力は。。。』

おじいちゃんに『マイク吹かないように注意して距離を保ってくださいね!』
なんて注意しても無駄だしナンセンス、って判断した現場の雰囲気がさらに音楽を深いモノにしている感じすらするんですよ(笑)。

このCDをきっかけにして音楽以上に沖縄そのものに傾倒していく事になる私。
『録音状態の如何』にはそういうパワーすらあるんですね。