マイキング、それは非常に難しいテーマ。
録音・レコーディングスタジオ界隈のシステムで最も進化のない『マイク』。
それにまつわる話ですが、全くミステリアスな事ばかりです。

twitter等を見ておりましても、プラグインがあーだソフトがこーだなどとは良くみますが、
マイキングについてのお話はあまり盛り上がる事はない気がします。
それはやはりルームアコースティクスや位相に関わることなので、とてもとっつきにくくわかりにくいからなのでしょう。

今回はそのマイキングについて、音響学的な立場からの論点も含め、短い時間ではありますが、深く考察してゆく事にしましょ. . . . . . . . . . . . . . . . . . .なんてことじゃなくて、
(マイキングは自分でなんとかせいゃwww)
こんなこともありますよ。ってはなし。

だいたいマイクってのは意外とエンジニア目線というか、エンジニア都合で行われますね。
『ここが音がいいんだよ。ここだとかぶりが少なくていいんだよ。』的な
確かに重要なポイントですね。

大昔とある沖縄民謡関係のレコーディングをさせて頂いた時に、年配の奏者兼唄者の方に、
『なんかマイクが近いと意識しちゃって伸び伸びとうたえないなぁ』
と、仰せつかりました。

同室で笛や琴やタイコまで1発の収録だったもので、なるべくかぶりを減らしたく思うのはエンジニアの性。
だから譜面台だけはちゃんと見える程度に、マイクをなるべく近づけてセッティングしていたのです。
そうしたらどうも歌いにくいとの事。もちろん顔にべったりくっつけてセッティングしているわけではないのですが。

mixでも気がついたのですが、マイクが近くて気になってた時と離して意識しなくなってからの唄では、
その音楽的表情が全くちがうのです。
よりいきいきしてるように感じられるのです。

マイクを離した結果、唄は伸び伸びとさらにいい感じになり、声も出て結局カブリの問題も声が大きくなる事で相対的に良くなったという。。。

マイキングも何事もエンジニア的な理論的な決め付けだけで行うのは駄目なのだなぁと。
音楽を作ってる訳だから、ミュージシャンの方々に『いかに気持ちよくいい演奏をして頂けるか』
という、なによりも一番大切なことを忘れてはいけないのだと若い僕は反省したお話なのでした。

これはロックとかのレコーディングにも言えます。いつもみたいにハンドマイクで歌いたいんだよっていわれたら躊躇せず58をお渡しする、コンデンサーマイクが立ってると緊張するからと言うなら、近くにダミーで58を立てておいて、遠くから狙う等々。エンジニアの『仕事』はいくらでもあるものです。

こういうメンタルな部分が一番マイキングでは難しい、いやレコーディングでの一番大切な部分なのです。
 

秋も深まりきりましたね。model RACCO、photo by EDo-mae (fujifilm X-T1、nikkor micro 55mm f2.8)

秋も深まりきりましたね。model RACCO、photo by EDo-mae (fujifilm X-T1、nikkor micro 55mm f2.8)