古今東西、今も昔もバンドのデビュー盤というのは何故か音がわるいことが多い。だいたい酷い(笑)

それは一体なぜなのか考えてみました

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参考ブログ

X (エックス)の『BLUE BLOOD』は何故あんなに音が悪く、名盤なのか。

https://www.edo-mae-recordings.com/blog/2019/6/4/x-blue-blood

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まず、それはもちろん予算の少なさによる機材やスタジオのクオリティもあります。

しかし、それよりデカイ原因があるんですね。

それは”バンドとは「我の集まり」であり「オレが俺が!」の集まりである”という事が大きな理由じゃないかと。

経験のないバンドがファーストレコーディングに臨むと、楽曲のアレンジやミックスがあれもこれもの「全部盛り」になってしまいやすいのです。そりゃぐちゃぐちゃーってなっちゃいますね。

もちろんその全部盛りが「勢い」として作用している名盤も沢山あります。何よりファーストは「勢い」が魅力ですから。

レコーディングによっては「プロデューサーの不在」も関係するかもしれません。例えば全部自分らでやることが多いと「統率する人」がいない場合が多くなります。つまりさっきの「オレが俺が!」状態が顕著になるわけですよ。

かつてのメジャーの現場では

ディレクターさんがしっかりプロデューサーの役割を果たしていました。会社の肩書き上はディレクターであっても、実質は現在でいうサウンドプロデューサーであり、とても音楽に詳しくまたメーカーによっては元は有名バンドのメンバーだったりした人がディレクターをやってました。(1990年代ころから外部の専門のプロデューサー立てるということが少しづつ一般化してきます。小林さんとか佐久間さんとか。。。)

つまり経験豊富な人が新人バンドやアーティストをしっかり”指揮っていた”んですね。それが特に最近はディレクターさんは昔でいうところのA&Rの役割になってしまい、どっちかというと事務方というかあんまり音楽に詳しくなく、また、一人で10アーティストとかを抱えてたりするので、現場には来ないわ発言ほとんどしないわという状況がかなり多いんですね。それでここ10年ぐらいはレコーディングのクオリティの低下がさらに顕著になってる気がするんです。(今回の話題でいうと新人の現場のことですよ。ベテランの現場はまた別です。)

話は戻りますが、バンドはギタリストが発言権が強い場合が多いですが、その場合も悪い音になりがちです(笑)やたらギターを大きくしたり痛々しい音にしたりしがちですよね。

で、またそれに抗うためバカの一つ覚えでドラムにハードコンプしたり(笑)本来はこの辺を経験の豊富なプロデューサーがメンバーも音も捌くわけなんですがね。

それと音が悪くなる理由のもう一つが、クレジット上プロデューサーやエンジニアが外部の人でありそれがプロだとしても、新人にはそこまで「思い入れがない」ので「こなし仕事になる事がある」という点です。「ギャラが少ないから」というのもあるでしょう。(自分が見つけてきた引っ張ってきたみたいな場合は除く)

だから予算がなく時間も足りないのとも相まって「早くおわらせよー」ってなり雑になるんすよ。(全部が全部そうだとは間違っても言いませんよ。ちゃんとしてるところもたくさんありますから)

「めんどくさいからとにかく全員のいうこと聞いといたろ」「なんかヤダけどまあこれでいっか」みたいなモードになりやすいんですよ。新人の現場は。偏見すか?(だから全部とは言ってない)

ただ、一流のプロデューサーやスタッフは例え予算や時間が足りなくても、自らのギャラが少なくとも、バンドがどんなに未熟で機材がショボくても素晴らしい「作品」に仕上げるものです。その未熟さや環境の悪さすら「魅力ある音楽性の要素」に昇華させることが出来るんです。

そして残酷なのは、結局のところ環境が悪くともそのプロの一流のワザを引き出すのは結局は「バンドやスタッフのポテンシャル」や「本気度」や「真面目さや人間性」になってきます。

「金がない」のは百も承知だとして、ケチってたりセコかったりする雰囲気がプロジェクトに蔓延していると絶対いい音にはなりません!

つまり最終的には、バンドメンバーもプロデューサーやスタッフも「音楽に対する真摯さ」が何よりも大事になるんです。

そして制約のある環境であってもお互い何より、引き出し引き出されること。これがレコーディングには大切です。

経験のない人のセルフレコーディングが上手く行きにくい理由もこの辺にありそうだというのは、言うまでもありません。

音は粗いけど音楽として素晴らしいというのは新人にしか出せない特権でもあります。

しかし。音が粗いだけ悪いだけのモノとそれとは雲泥の差があります。

もちろん音がいいのに越したことはないですが、音が悪くても成立するいい音楽とはなにかをたまに考えてみたりするわけです。

もちろんいい音にするのは当たり前なんですけどね。

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