トリガーを使うのは敗北であるという強い感覚を意識的に持つ必要性について書きますね。

いわゆるトリガー。ドラムにセンサーを付けて音源を鳴らすやつですね。

今はDAW上で時間軸を完璧に合わせて貼り付けるのも非常に簡単です。

もとはモトリークルーのトミーリーあたりがやり始めたと言われてますね。

日本では聖飢魔IIが既に1997年に発表した「NEWS」で使用したらしいというのを、ベーシストのゼノン石川さんのベースマガジンでのインタビューでの「ドラムの音は色々エンジニアさんの秘密の必殺技があるみたいです」という発言が記憶にあります。(おそらく聖飢魔IIのトリガー使用はこの作品のみと思われる)

同アルバムのエンジニアリングを担当したビクタースタジオのUさんにお話を伺おうとしましたが、こういう質問はタブーとは言いませんが、聴くのは個人的にはナンセンスだと思うので、結局確認はしてませんが。(Uさんはハードディスクレコーディング黎明期に日本で誰よりもいち早くPROTOOLSを導入した方なので、おそらくやっているでしょうね。ただ「NEWS」は録りは3348で落としはSSLだったと仰ってましたので、いわゆるMIDI同期トリガーだと思われます。ちなみのちなみにUさんは今はマスタリングに転身され僕もたまにお世話になりますが、今飛ぶ録りを100羽を落としたであろう星野源さんのマスタリングを担当されてますよ。

閑話休題。

で、そのトリガー。ライブでの使用はそのステージ上の過酷な音響環境により使わざるを得ない場合があるのはある程度仕方ないのですが、問題はレコーディングですね。

モトリークルーのころのドラムセットに比べて最近のドラムセットではやはりそのアタックだったり粒立ちの感じは格段に進化しています。

最近では復活したSAKAEのおそらく初のレコーディングの現場をやらせていただきましたが、そのアタックの速さと粒立ちの良さはもうトリガーの音そのものみたいな感じで、かなりの衝撃を受けた記憶があります。

普段はEQは絶対せずにレコーディングしますが、やっちまいました。そいつの世話になっちまいました。

あまりにトリガーっぽすぎの音で扱いに戸惑ってしまい。。。(笑)

まぁそれはどーでもいいのですが、ドラマーたるもの•漢たるものトリガー前提でレコーディングするのはちと違うんではないかと。楽器を選びヘッドを吟味し、チューニングを緻密にし、己のショットを安定させしっかりドラムに向き合えばはっきりいってトリガーなんて必要ありません。適切なミックスによりあの音にすることがちゃんと出来ます。

しかも、ミックスではむしろドラムそのものの音をどうこうするより、ベースやギターの処理が肝になってきます。それらの楽器の帯域やダイナミクスをドラムをキーにコントロールしたりすることも必要になることがあります。

なによりもメタルに限らず、ドラムを出発点とした音色の相互設計と演奏そのものをしっかり行うことにより「トリガーを使用しない」ということが可能になります。

そういった樋口宗孝さんや工藤義弘さん等の往年の男気のあるドラマーになるためには(そりゃスピードや打点は今はもっと現代的にはなってきてはいますが)、ドラマーの基本とドラムの基本に立ち返るべきです。

トリガーなどという「Beauty Plus」に頼るのは肌や顔に自信がないということに、限りなく近いわけですよ。

そんなドラマーはかっこいいか悪いかってえと、僕はあんまり好きではないかなぁ。

no Beauty Plus

no Beauty Plus